【 第9章 2022年度生用 教育課程(学部別)】
健康科学部
心理学科

1. 心理学科教育理念

(1)教育研究上の目的

健康科学部は、心理、医療の各分野の専門的知識や技術を習得し、幅広い教養と豊かな人間性を身につけ、新たな課題に対応できる問題解決能力を備えた人材を養成する。心理学科は、心理学の知識やカウンセリングのスキルなどを修得し、心の問題に適切に対応のできる専門的な人材の養成をめざす。

(2)ディプロマポリシー(学位授与方針)

健康科学部心理学科は、教学理念および学部・学科の教育研究上の目的に則り、幅広い教養と心理学の専門的な理論・技法の修得を通じて、豊かな知識と人間性を基礎に、個人や家庭・学校・企業などの集団の抱える心の問題・課題に対して、その問題解決や成長・発展に貢献することのできる人材を養成することをめざしている。そのために心理学科では、この教育目標に基づき、次のような能力を身につけ、所定の単位を修得した者に学士(心理学)の学位を授与する。

  • ① 心理学全般の基礎知識をバランスよく身につけている。
  • ② こころとからだを併せ持つ人間に関する事象を、心理学的視点から捉えて、分析し、理解する能力を身につけている。
  • ③ 臨床心理学、社会・産業心理学、発達・教育心理学、行動神経科学のいずれかの分野の専門性の高い理論・知識・研究法を身につけている。
  • ④ 心理学的な視点と研究法により、社会の人々が直面している問題・課題に取り組む能力を身につけている。
  • ⑤ 自己理解・他者理解にもとづくコミュニケーションを用いて、周囲の人々と協働し、組織や地域の成長・発展に貢献できる能力を身につけている。
(3)カリキュラムポリシー(教育課程の編成・実施方針)

学位授与に必要とされる能力(ディプロマポリシー)を修得するために、健康科学部心理学科では、以下の方針で教育課程を編成する。

  • ① 心理学科では、バランスよく心理学を学ぶために、専門分野に「共通領域」「行動神経科学領域」「臨床心理学領域」「社会・産業心理学領域」「発達・教育心理学領域」「医療と心理領域」の6領域を設定する。学生は、必修科目を履修することにより、すべての領域の入門的内容を修めることができる。学年進行とともに、各自の興味関心のある分野の学びを深めることができるよう、各領域により専門性の高い選択科目を用意する。これらは、コース制ではなく、各学生が学ぶ目的にあわせて、どの領域の科目も自由に選択して履修できる。(ただし、履修条件のある科目に注意が必要)
  • ② 「共通領域」では、心理学の基礎と考えられる概論の講義科目と、心理学研究法に関する科目を配置する。1~2回生でこれらを履修・修得することが、後のより専門性の高い学習の礎となる。また、この領域には、今後の学業や卒業後の職場・家庭にも必要と考えられるコミュニケーション能力を養成するため、1回生時に「自己表現研究 Ⅰ・Ⅱ」を配置する。
  • ③ 「行動神経科学領域」では、人の心の成り立ちを科学的に解明するための理論や技術を学ぶ。知覚や認知、記憶といった心的活動が、脳のどのようなメカニズムによって実現されているかを探求するための科目を配置する。
  • ④ 「臨床心理学領域」では、人の心の有り様や人々への支援について、臨床心理学のさまざまな理論に学ぶことと並行して、体験的学習を通して「臨床の知」を学べるよう、講義・演習及び実習を配置する。将来、医療・福祉・教育などの現場の援助職を希望する学生に適した学びの領域である。
  • ⑤ 「社会・産業心理学領域」には、社会心理学と産業心理学の理論的学習を基礎として、実際の社会活動・企業活動に活用可能な高度なスキルを修得できる科目を配置する。将来、企業での活躍を希望する学生に適した科目を多く用意する。
  • ⑥ 「発達・教育心理学領域」では、基礎理論の講義によって、他領域の学びにも必要な人間の発達の道すじを学ぶ。さらに専門的な、教育・発達支援の科目も配置する。
  • ⑦ 「医療と心理領域」は、臨床心理学の発展系の領域である。心理学と、医学・哲学・文化・芸術・理学療法学等との交流による新しい視点からのユニークな科目を配置する。
  • ⑧ 卒業研究では②~⑦の領域から学生が最も興味ある分野のテーマを設定して、3回生前期から4回生後期の間に、4年間の学びの集大成として、卒業論文を作成する。卒業研究は、心理学の高度な専門的知識・技法を修得し、学びを自己の人生に役立つものとする最適の課題である。

2. カリキュラムのねらい

心理学科のカリキュラムは、次の①から③の特長にあるように、学生のみなさんが心理学の基礎から応用まで、順次研究能力を修得しながら、さまざまな心理学分野をバランスよく学べるように構成されています。また、1年次・2年次に、自律的・積極的に学ぶ姿勢を養成する科目を配置して、今後の大学での学業や生活、さらには将来の社会生活や職業にも重要と考えられる自己理解・自己表現と他者理解やコミュニケーションの能力が育成されるように配慮されています。

① 心理学諸領域をバランスよく学ぶ。
大学における心理学教育では、心理学の諸領域をバランスよく学ぶことが重視されています。本学科のカリキュラムはこれを実現するよう、「共通領域」(研究法)、「臨床心理学領域」、「社会・産業心理学領域」、「発達・教育心理学領域」、「行動神経科学領域」、「医療と心理領域」から構成されています。「共通領域」では、心理学の基礎的な理論・研究法の修得をねらいとした科目と基礎分野の心理学が多数配置されており、心理学の基礎的理論の理解や研究能力を養成します。また、体験的に大学での学び方や学ぶ姿勢を養う科目が配置されています。
② 臨床心理学、社会・産業心理学、発達・教育心理学、行動神経科学の4つの専門領域を深く学び、『自立』に活かす。
4つの領域の心理学について、基礎理論から高次の専門性をもつ科目まで、2-4年次に配置しています。その中でも、特に臨床心理学と社会・産業心理学が充実しています。「臨床心理学領域」では、講義形式で理論やさまざまな知見を紹介する科目も実施されますが、対話型の授業や体験学習も多く取り入れ、将来、心の専門家になる人にも、一般企業に働く人にも、家庭生活にも役立つ臨床心理学を学べるようデザインされています。「社会・産業心理学領域」では、基礎理論から実践で役立つ高度なスキルまでを積み上げていく科目立てになっています。企業の、企画・開発やマーケティング、人事評価・労務管理などに活用できるスキルが身につきます。
③ 新しい視点の「医療と心理領域」で、自身の発達や職業・家庭生活に活かす『臨床の知』を身につけ、『共生』社会の構築に貢献することを目指す。
人を心と身体に分けることのできない全人的な存在として捉え、心身の健康の維持や幸福、QOL(Quality Of Life)の向上に、心理・社会・身体的要因がどのような役割をもつかについて、医療および心理的側面から学ぶ領域です。臨床心理学の発展系としての性格がありますが、けっしてそれだけに止まらない広がりと新しさがあります。この領域の科目の受講により、医療・福祉・教育などの現場に活かす『臨床の知』を涵養し、他者援助に活用して『共生』を目指しましょう。

3. 各回生の到達目標

4. 学修領域について

専門分野の共通領域では、心理学の基礎的な理論である実験心理学や認知心理学などを学修し、心理学研究法・心理学統計法などのスキルを修得します。また医療・心理領域では、健康心理学や精神医学などを学修し、心と体の健康について学びます。下記の4つの領域には多くの科目が配置され、心理学の応用的な理論やスキルを深く学修します。

臨床心理学領域
子どもから青年・成人・高齢者までの心の健康、心の問題について学ぶ。心理臨床、教育、福祉などのさまざまな分野で他者を援助するための力を養成することを目標とする。将来、公認心理師・臨床心理士をめざす人には最適の導入学習領域。
社会・産業心理学領域
職場の人事・組織や消費者行動・マーケティングなどのビジネスに直結した産業心理学を学んでいく領域。職場の メンタルヘルスついても専門的な素養を育み、卒業後は職場の健康と生産性を高める戦力となるような職業人をめざす。
発達・教育心理学領域
小学校・中学校・高校の児童・生徒の心理を理解するとともに、思春期・青年期の心の問題への対処、ストレスマネジメントやソーシャルスキルなどの知識や技術を修得。卒業後は学校や教育相談機関、種々の福祉施設等への就職をめざす。
行動神経科学領域
人の心の成り立ちを、科学的に解明する。人間の脳の動きを動物の脳と比較することによって理解し、知覚や認知、記憶といった心的活動が、脳のどのようなメカニズムによって実現されているかを探求する。

5. 履修条件

対象科目 履修条件
心理学研究法 「心理学研究法 」を修得済みであること
心理学統計法 「心理学統計法 」を修得済みであること
心理学統計法 (多変量解析) 「心理学統計法 」または「心理学データ解析」を修得済みであること
心理的アセスメント 「心理的アセスメント 」を修得済みであること
マーケティング調査演習

下記①②をともに満たすこと

  • ①「社会・集団・家族心理学 」、「社会・集団・家族心理学 」、「産業・組織心理学」、「消費者行動論」のうち いずれか2科目を修得済みであること
  • ②「心理学統計法 」を修得し、かつ、「心理学統計法 」または「心理学データ解析」を修得済みであること
社会心理学実験演習 Ⅰ・Ⅱ 「マーケティング調査演習」の履修条件に同じ
なお、「社会心理学実験演習 」と「社会心理学実験演習 」は同時に履修すること
発達心理学 「発達心理学 」を修得済みであること
心理演習

下記①②をともに満たすこと

  • ① 3回生前期までの公認心理師指定科目を全て修得済みであること
  • ② 2回生終了時点で卒業要件修得単位が70単位以上であること
心理実習

下記①②をともに満たすこと

  • ① 3回生後期までの公認心理師指定科目を全て修得済みであること
  • ② 3回生終了時点で卒業要件修得単位が110単位以上であること

6. 履修モデル

下の科目表は、特定の領域を重点的に学ぶ履修モデルです。あくまでモデルであり、この通りに履修する必要はありません。複数領域から幅広く履修することもできます。

臨床心理学領域

48単位

配当
回生
実施
期間
パーソナリティ心理学 1 後期
カウンセリング 2 前期
コミュニティ心理学 2 前期
発達臨床心理学 2 前期
対人援助論 2 前期
感情・人格心理学 2 前期
学習・言語心理学 2 前期
産業・組織心理学 2 前期
健康・医療心理学 2 後期
福祉心理学 2 後期
知覚・認知心理学 2 後期
教育・学校心理学 2 後期
こころの脳科学 3 後期
障害者・障害児心理学 3 前期
心理学的支援法 3 前期
精神疾患とその治療 3 前期
心理的アセスメント 3 前期
心理学研究法 3 前期
メンタルヘルス・マネジメント 3 前期
司法・犯罪心理学 3 後期
異常心理学 3 後期
神経・生理心理学 3 前期
コーチング心理学 3 後期
英書購読 3 後期
社会・産業心理学領域

48単位

配当
回生
実施
期間
パーソナリティ心理学 1 後期
学習・言語心理学 2 前期
実験心理学 2 前期
産業・組織心理学 2 前期
心理学統計法 2 前期
福祉心理学 2 後期
知覚・認知心理学 2 後期
社会・集団・家族心理学 2 後期
消費者行動論 2 後期
社会調査法(社会心理調査) 2 後期
行動分析学 2 後期
健康・医療心理学 2 後期
広告と消費の心理学 3 前期
社会心理学実験演習 3 前期
社会心理学実験演習 3 前期
メンタルヘルス・マネジメント 3 前期
こころの脳科学 3 後期
神経・生理心理学 2 後期
心理学統計法 (多変量解析) 3 前期
環境心理学 3 前期
司法・犯罪心理学 3 後期
マーケティング調査演習 3 後期
コーチング心理学 3 後期
英書講読 3 後期
発達・教育心理学領域

48単位

配当
回生
実施
期間
パーソナリティ心理学 1 後期
発達臨床心理学 2 前期
学習・言語心理学 2 前期
知覚・認知心理学 2 後期
心理学統計法 2 前期
コミュニティ心理学 2 前期
福祉心理学 2 後期
対人援助論 2 前期
発達心理学 2 後期
教育・学校心理学 2 後期
健康・医療心理学 2 後期
社会・集団・家族心理学 2 後期
社会調査法(社会心理調査) 2 後期
環境心理学 3 前期
障害者・障害児心理学 3 前期
心理学研究法 3 前期
精神疾患とその治療 3 前期
心理的アセスメント 3 前期
メンタルヘルス・マネジメント 3 前期
こころの脳科学 3 後期
心理学的支援法 3 前期
神経・生理心理学 3 前期
コーチング心理学 3 後期
英書購読 3 後期
行動神経科学領域

48単位

配当
回生
実施
期間
心理学史 2 前期
感情・人格心理学 2 前期
実験心理学 2 前期
学習・言語心理学 2 前期
心理学統計法 2 前期
福祉心理学 2 後期
社会・集団・家族心理学 2 後期
知覚・認知心理学 2 後期
行動分析学 2 後期
健康・医療心理学 2 後期
発達心理学 2 後期
教育・学校心理学 2 後期
心理学的支援法 3 前期
障害者・障害児心理学 3 前期
こころの脳科学 3 後期
精神疾患とその治療 3 前期
社会心理学実験演習 3 前期
社会心理学実験演習 3 前期
メンタルヘルス・マネジメント 3 前期
環境心理学 3 前期
異常心理学 3 後期
神経・生理心理学 3 前期
医療と生命の倫理 3 後期
英書購読 3 後期

7. 大学院を希望する人へ

将来、大学院への進学を考えている人には、「英書講読」「心理学統計法 」「心理学研究法 」を受講することを強く薦めます。

8. 取得できる免許・資格

(1)取得可能な免許・資格
(2)取得可能な受験資格
ポータルサイト配信の確認を習慣に

学生のみなさんに対する連絡は、ポータルサイトへの配信によって行います。
配信されたものについては各自確認されたものとして取り扱いますので、毎日の習慣として必ず内容を確認するようにしてください。

【ポータルサイトの利用方法】
『 在学生の方へ 』のページからポータル(ユニパ)をご確認ください。