総合心理学部 総合心理学科

1. 総合心理学科教育理念

(1)教育研究上の目的

総合心理学部総合心理学科は、心理学に関する幅広い理解と高い専門性および、広い視野を持って心理学の理論や技法を実践する力を総合的に身につけ、人の心と行動という観点から、個人や家庭、学校、企業など、さまざまな場面・主体の課題解決やその発展に貢献できる人材を養成する。

(2)ディプロマポリシー(学位授与方針)

総合心理学部総合心理学科は、教学理念および学部・学科の教育研究上の目的に基づき、次のような知識、能力を身につけ、所定の単位を修得した者に学士(心理学)の学位を授与する。

A. 知識・理解

  1. ① 心理学の知識・技能を社会のなかで活かすうえで必要となる、文理の枠を超えた幅広い教養と知識を身につけている。
  2. ② 心理学の専門分野を学ぶうえで必要となる、心理学全般における基礎知識を身につけている。
  3. ③ 臨床心理学、社会・産業心理学、発達・教育心理学、行動・脳科学、健康・福祉心理学のいずれかの分野における専門的な知識を身につけている。

B. 思考・技能

  1. ④ さまざまな課題に根拠を持ってアプローチするために必要な分析力や論理的思考能力を身につけている。
  2. ⑤ 周囲の人々と協力しつつ目的を達成するための、コミュニケーション能力やリーダーシップを身につけている。

C. 関心・意欲・態度

  1. ⑥ 社会について関心を持ち、日常的に新しい知識や技能を身につけようとする意欲と態度を身につけている。
  2. ⑦ 自らを取り巻く組織やコミュニティと協働して、課題解決に取り組む意欲と態度を身につけている。

(3)カリキュラムポリシー(教育課程の編成・実施方針)

学位授与に必要とされる能力(ディプロマポリシー)を修得するために、総合心理学部総合心理学科では、以下の方針で教育課程を編成する。

  1. ① 学科の学修を円滑に進め、また自立した社会人としての基礎的な素養を養成するため、教養教育科目にコア科目群、教養教育科目群を配置する。論理的思考力などの汎用的技能や主体的に学びを続ける態度を涵養する科目並びに、幅広い教養を教授する科目を配置する。
  2. ② 学びと社会のつながりや自らの将来を深く考えさせ、キャリア実現に向けた積極的な行動を促すため、教養教育科目にキャリア教育科目群を配置する。1年次前期からキャリア関連科目を開講するとともに、インターンシップなどの実践型の科目を配置し、実践・経験と連動した、体系的なキャリア教育を展開する。
  3. ③ 心理学の基盤教育を行うため、専門教育科目に「共通領域」を配置する。共通領域では、心理学の基礎的な知識と本学科の多様な領域における導入的知識を総合的に修得し、その後の専門性の深化を促すために「基礎科目群」を、心理学の学びや実践に不可欠な技法を修得するために「心理データサイエンス科目群」を、自己理解・他者理解に基づくコミュニケーションから専門的な理論・研究法までを総合的に学修し、社会での実践を促すために「総合心理演習科目群」を配置する。
  4. ④ 心理学の専門領域における知識や技能を深めるため、専門教育科目に「臨床心理学領域」「社会・産業心理学領域」「発達・教育心理学領域」「行動・脳科学領域」「健康・福祉心理学領域」を配置する。
  5. ⑤ 分野を越えた学びによる視野の拡大や応用力の強化を促すため、専門教育科目に「専門関連領域」を配置する。

2. 教育課程

(1)カリキュラムのねらい

心理学科のカリキュラムは、次の①から③の特長にあるように、学生のみなさんが心理学の基礎から応用まで、順次研究能力を修得しながら、さまざまな心理学分野をバランスよく学べるように構成されています。また、1年次・2年次に、自律的・積極的に学ぶ姿勢を養成する科目を配置して、今後の大学での学業や生活、さらには将来の社会生活や職業にも重要と考えられる自己理解・自己表現と他者理解やコミュニケーションの能力が育成されるように配慮されています。

① 心理学諸領域をバランスよく学ぶ。
大学における心理学教育では、心理学の諸領域をバランスよく学ぶことが重視されています。本学科のカリキュラムはこれを実現するよう、「共通領域」(研究法)、「臨床心理学領域」、「社会・産業心理学領域」、「発達・教育心理学領域」、「行動・脳科学領域」、「健康・福祉心理学領域」から構成されています。「共通領域」では、心理学の基礎的な理論・研究法の修得をねらいとした科目と基礎分野の心理学が多数配置されており、心理学の基礎的理論の理解や研究能力を養成します。また、体験的に大学での学び方や学ぶ姿勢を養う科目が配置されています。
② 臨床心理学、社会・産業心理学、発達・教育心理学、行動・脳科学、健康・福祉心理学領域の5つの専門領域を深く学び、『自立』に活かす。
5つの領域の心理学について、基礎理論から高次の専門性をもつ科目まで、2-4年次に配置しています。その中でも、特に臨床心理学と社会・産業心理学が充実しています。「臨床心理学領域」では、講義形式で理論やさまざまな知見を紹介する科目も実施されますが、対話型の授業や体験学習も多く取り入れ、将来、心の専門家になる人にも、一般企業に働く人にも、家庭生活にも役立つ臨床心理学を学べるようデザインされています。「社会・産業心理学領域」では、基礎理論から実践で役立つ高度なスキルまでを積み上げていく科目立てになっています。企業の、企画・開発やマーケティング、人事評価・労務管理などに活用できるスキルが身につきます。

(2)各回生の到達目標

(3)学修領域について

臨床心理学領域

子どもから青年・成人・高齢者までの心の健康、心の問題について学ぶ。心理臨床、教育、福祉などのさまざまな分野で他者を援助するための力を養成することを目標とする。将来、公認心理師・臨床心理士をめざす人には最適の導入学習領域。

社会・産業心理学領域

職場の人事・組織や消費者行動・マーケティングなどのビジネスに直結した産業心理学を学んでいく領域。職場のメンタルヘルスついても専門的な素養を育み、卒業後は職場の健康と生産性を高める戦力となるような職業人をめざす。

発達・教育心理学領域

小学校・中学校・高校の児童・生徒の心理を理解するとともに、思春期・青年期の心の問題への対処、ストレスマネジメントやソーシャルスキルなどの知識や技術を修得。卒業後は学校や教育相談機関、種々の福祉施設等への就職をめざす。

行動・脳科学領域

人の心の成り立ちを、科学的に解明する。人間の脳の動きを動物の脳と比較することによって理解し、知覚や認知、記憶といった心的活動が、脳のどのようなメカニズムによって実現されているかを探求する。

健康・福祉心理学領域

心とからだの健康に対する心理・社会・身体的要因の影響や役割を学ぶ。心身の健康の維持や幸福、QOL(人生や生活の質)の向上といった学習者の成長や卒業後の職業・家庭生活に役立つ知を養成する。

(4)履修条件

対象科目 履修条件
心理学研究法 「心理学研究法」を修得済みであること
心理学統計法 「心理学統計法」を修得済みであること
心理学統計法(多変量解析) 「心理学統計法」または「心理学データ解析」を修得済みであること
心理的アセスメント 「心理的アセスメント」を修得済みであること
マーケティング調査演習 下記①②をともに満たすこと
  • ① 「社会・集団・家族心理学」、「社会・集団・家族心理学」、「産業・組織心理学」、「消費者行動論」のうちいずれか2科目を修得済みであること
  • ② 「心理学統計法」を修得し、かつ、「心理学統計法」または「心理学データ解析」を修得済みであること
心理データサイエンス演習Ⅰ・Ⅱ 「マーケティング調査演習」の履修条件に同じ なお、「心理データサイエンス演習」と「心理データサイエンス演習」は同時に履修すること
発達心理学 「発達心理学」を修得済みであること
心理演習 下記①②をともに満たすこと
  • ① 3回生前期配当までの公認心理師指定科目を全て修得済みであること
  • ② 「心理演習」を履修しようとする前年度終了時点で卒業要件修得単位が70単位以上であること
心理実習 下記①②をともに満たすこと
  • ① 3回生後期配当までの公認心理師指定科目を全て修得済みであること
  • ② 「心理実習」を履修しようとする前年度終了時点で卒業要件修得単位が110単位以上であること

(5)大学院を希望する人へ

将来、大学院への進学を考えている人には、「英書講読」「心理学統計法」「心理学研究法」を受講することを強く薦めます。

3. 取得可能な免許・資格