教育課程(教養教育課程)

1. 教養教育課程とは

本学の「教養教育課程」は、「コア科目群」「教養教育科目群」「キャリア教育科目群」の3つの科目群で構成しており、7つの教育目標を掲げています。

3つの科目群

  1. ① コア科目群
    大学での学修に必要な基本的な知識やスキルを学びます。
  2. ② 教養教育科目群
    社会人として求められる教養を学びます。
  3. ③ キャリア教育科目群
    社会人として自立していく準備(就業力の育成)のための将来設計や職業観の構築、社会のルールなどを学びます

3つの科目群それぞれが、「ディプロマポリシー」を実現するために重要な役割を果たしていますので、各科目群には《必修科目》として必ず履修しなければならない科目や、決められた科目の中から規定以上の単位を修得することが必修とされている《選択必修》科目が存在しています。それらを中心に、自分の興味関心のある科目はもちろん、幅広い知識を身につけることを念頭に置いて計画的な履修を心がけてください。

7つの教育目標

  1. ① 市民や社会人として必要とされる知識や教養の獲得
  2. ② 知的関心をもって学修していく態度や心構えの獲得
  3. ③ 市民や社会人として必要とされる倫理観や人間性の獲得
  4. ④ 異なる考え方や異なる文化を持つ人々を理解する能力の獲得
  5. ⑤ 自分自身や社会が直面するさまざまな問題を理解し解決する能力の獲得
  6. ⑥ 物事を論理的に分析する能力の獲得
  7. ⑦ 読む力や書く力、話す力や聞く力の獲得
  • ○ 大学卒業後は、社会人として社会で活躍することとなります。そのために、卒業(学士学位取得)時には、「学士力」・「社会で生きる力」(社会人基礎力)をしっかりと身につけておくことが必要です。【図1】からも、「学士力」・「社会人基礎力」を支える大きな柱は《教養教育》と《専門教育》だと言えます。
  • ○ 《教養教育》、《専門教育》、加えて《免許・資格課程》科目それぞれ、回生毎の学びにあわせた科目を配置していますので、自分の将来を見通し、毎年度履修計画を立て、計画的に学修を深める必要があります。
  • ○ 大学での学修は、みなさんの選択で自由に形を変えることができるといっても過言ではありません。従って、みなさんの学びの範囲は非常に広く設定されていますが、他方で、責任をもって、計画的に、卒業に必要な単位を修得することが求められます。

2. コア科目群とは

京都橘大学で学ぶ意義を理解し、考え方、表現の方法、データの取扱いなどを学び、教学理念である〈自立〉・〈共生〉・〈臨床の知〉を身につける基盤を学ぶ科目群です。

(1)アカデミックライティング/ライティング基礎

「アカデミックライティング」/「ライティング基礎」では、大学での学修活動に必要なアカデミック・スキルとしての読解力や文書作成能力などの日本語運用能力の獲得をめざします。原稿用紙の使い方など大学生活で役立つ実用的な「書く」能力を身につけることからはじめ、高度な文章を読む力を養成しながら、添削指導により、論理的な論説文を書くための文章構成や推敲の能力を高めます。

(2)英語教育

英語では、基本科目である「英語A〜B」において、大学での学修において必要とされる英語力の獲得を目指すと同時に、企業就職に際して重視されることも多いTOEICのスコアアップを目指すクラスも開かれています。到達度別でクラス編成を行うので、無理なく英語力を向上させることができます。
また、本学では、系統的で継続性のある効果的な学修を実現することを目的として、履修条件(履修制限)を設定しています。

対象科目 履修条件
英語A 英語AまたはAを修得済みであること
英語B 英語BまたはBを修得済みであること
英語A 英語AまたはAを修得済みであること
英語B 英語BまたはBを修得済みであること

(3)情報教育

コンピュータ・リテラシーつまりコンピュータを主体的に使いこなす能力や情報を利用・活用する能力は、在学中はもちろん社会に出てからも不可欠です。必修の「ITリテラシー」では、コンピュータの基本操作に始まり、一般に広く用いられているワードやエクセル、さらにはパワーポイントなどのアプリケーションの操作方法を学びます。また基本ソフトの操作方法の修得と共に、インターネット利用時のルールやマナー、情報の活用についても学びます。
本学では、今後、社会から求められる数理・AI・データサイエンスの知識・能力を段階的に養成するプログラムとして、「たちばなAI・データサイエンスプログラム」を実施しています。当プログラムの修了要件を満たすと修了認定証を発行します。認定証の発行については、「【第1章学籍】5.証明書」を確認してください

3. 教養教育科目群とは

教養教育科目群は7つの教育目標を掲げ、卒業後、社会人として自立していくにあたっての、目指すべき方向を示しています。学生のみなさんには、それぞれの科目群や科目の持つ目標や役割を正確に理解し、学びに参加し、卒業後は社会人として精神的にも経済的にも自立していけるような成長を実現してほしいと、強く願っています。

領域
(1)人間と知の伝達 (2)人間と文化 (3)人間と社会 (4)人間と自然
分野 ① 現代の思想 ① 外国語と文化理解 ① 法律・行政・政治 ① 健康・こころ・からだ
② メディアと情報 ② 歴史・文化 ② 経済・経営・社会 ② 自然と環境

(1)現代社会とそのルーツを探る

① 現代の思想(分野)

  • ○ 文化、思想、宗教についての基礎的な知識を身につけ、自らの生き方に役立つ世界観をひとりひとりが構築できるようになることを目指しています。
  • ○ 『人間とは?』『人生とは?』『世界とは?』といった問いに取り組んできた先人たちのものの考え方や分析の仕方を修得することで、論理的にものごとを考える力を身につけることを目指します。
  • ○ さまざまなものの考え方や価値観、宗教観、倫理観を学び、異なる文化をもつ人々と共生し、異なる価値観をもった人々との交流ができる人間性の獲得を目指します。

② メディアと情報(分野)

  • ○ 情報が発信者から受信者に伝達される際のメディア(媒体)について理解を深め、情報化社会において必要な知識を身につけることを目指します。
  • ○ メディアの特性を知ることによって、発信者の意図や伝え方、また、受信者の認識や態度によってさまざまに変化する情報を、さまざまな場面において適切に受け取り、処理できる力を養います。
  • ○ また、情報の正しい発信力や受信力は、異なる考えを持った人と共生するために必要な力です。情報を冷静に分析し、他人の意見を理解できる力を獲得することを目指します。

(2)社会のなかで自立して生きる

① 異文化との共生

  • ○ グローバル化する社会の中で生活を送るために必要な語学の能力および外国の文化を理解し、日本と海外との相互理解を促進するために必要な知識・教養を身につけることを目指します。
  • ○ それを通じて、異なった意見にも耳を傾けて理解し、独断ではなく多面的に思考して自己の意見を形成する力を修得します。さらに、社会における異なった文化や価値観を持った人々の共生のために必要な世界観を獲得します。

また、本学では、系統的で継続性のある効果的な学修を実現することを目的として、履修条件(履修制限)を設定しています。

対象科目 履修条件
中国語 「中国語」を修得済み、もしくは同等以上の者。
中国語 「中国語」を修得済み、もしくは同等以上の者。
中国語 「中国語」を修得済み、もしくは同等以上の者。
韓国語 「韓国語」を修得済み、もしくは同等以上の者。
韓国語 「韓国語」を修得済み、もしくは同等以上の者。
韓国語 「韓国語」を修得済み、もしくは同等以上の者。
フランス語 「フランス語」を修得済み、もしくは同等以上の者。
ドイツ語 「ドイツ語」を修得済み、もしくは同等以上の者。

② 地域の価値を知る

  • ○ ますます複雑化する現代社会を生き抜くために必要な基礎的教養として、歴史に関する入門的知識を修得するとともに、日本の歴史や文化の中心である京都を題材として、伝統文化や歴史遺産、古典から現代までの文学についての基礎的な知識の修得を目指します。
  • ○ それらを通じて、物事や出来事を考える際にその歴史的な根元まで立ち返って考えるという思考方法、目先の物質的欲望に惑わされず文化的価値や伝統を尊重する態度を身につけます。このような姿勢を修得することで、私たちは、社会に出てから、さまざまな諸問題に対処する際の、表面ではなくその本質を洞察することができるようになります。

(3)人間と社会

① 法律・行政・政治(分野)/社会のなかで自立して生きる

  • ○ 法律、行政、政治に関わる基礎的な知識を身につけ、身近に起こる出来事について、「社会的なルール」を基準に評価することのできる思考力を養います。
  • ○ 成熟した市民として、裁判や選挙など、社会で定められた手続きに沿って、社会にはたらきかけていく実行力を身につけます。そのうえで、国際社会の中で異なる文化をもつ人々と共生し、人権に配慮しつつ、市民として責任ある行動をとることのできる人間性の確立を目指します。

② 経済・経営・社会(分野)

  • ○ 経済、経営、会計の基礎知識を修得することで、私たちのくらしを支えるさまざまな活動を理解するとともに、社会の一員として生活を営むために必要な分析力や論理的思考力を獲得します。
  • ○ 現代の社会全体が抱える諸問題を多角的に分析できる広い視野を身につけ、他者の立場に配慮しながら、自ら進んでその解決に乗り出すことのできる人間性を身につけることを目指します。

(4)人間と自然

① 健康・こころ・からだ(分野)/心とからだの健康をはぐくむ

  • ○ 日々の生活を振り返り、「健康」の意味を考えることを通じて、人間の心身の仕組みと働きの基礎を理解します。これらの知識は、長い人生を生きていく上で、自分や家族、社会の幸福や健康を維持・増進していくために必要な力となります。

② 自然と環境(分野)/自然と共生する

  • ○ 自然と環境の仕組みについて総合的に理解し、自然科学の基本的知識を身につけます。
  • ○ それらを通じて、災害対策、地球温暖化問題や放射能汚染の問題など、環境にまつわる地球規模の課題の解決に向けた取り組みについて考え、「自然」との共生を軸に据えた、これからの時代にふさわしい世界観・倫理観・文明観・人間性の獲得を目指します。

4. キャリア教育科目群と開発プログラム

(1)キャリア教育科目群

京都橘大学のキャリア教育は次のとおりです。
みなさんがこれから京都橘大学のキャリア教育を理解し学修していくにあたって、大きく次の3点を理解する必要があります。

  1. ① 卒業後の人生あるいは業種を選択するという点に関して、学部学科によってはすでに入学時から決まっている場合もあります。
    例)看護学部へ入学 → 卒業後は看護職(看護師・保健師・助産師)になることを選択。
    発達教育学部児童教育学科や、健康科学部理学療法学科、作業療法学科、救急救命学科、臨床検査学科も同様です。これらの学部・学科のキャリア教育は、各学部・学科で行われます。それ以外の学部・学科のみなさんは、本学におけるキャリア教育の概要をしっかり理解し、一人ひとりが夢を現実のものにできるよう、1回生の時からしっかりと学修する必要があります。
  2. ② 《キャリア教育》という考え方と《キャリア関連科目》は同じ概念ではありません。
    本学では「インターンシップ準備講座」、「インターンシップⅠ・Ⅱ」、「海外インターンシップ」、「クロスオーバー型課題解決プロジェクト」、「キャリア開発演習Ⅰ〜Ⅳ」などの科目を配置しています。では、これらの科目だけを勉強すれば就業力が身につくのか、夢が現実のものになるのかというと、決してそうではありません。直接的な就業対策に取り組むためには、その前提となる基礎学力や一般教養が身についていなければなりません。
    例)公務員試験や教員採用試験を受験 ← 基本的な数学の力や政治経済の知識が必要。
    また、様々な文章を作成するにあたり、論理的思考力や表現力も必要とされます。したがって、《キャリア教育》という枠組みは、キャリア関連科目をコアとしつつも、基礎学力を身につける科目群や教養教育科目群と連携をとりながら、有機的にキャリア開発をすすめるシステムとして組み立てられています。《キャリア教育》とは、基礎教育科目と教養教育科目、キャリア関連科目を包括している教育システムであると理解してください。
  3. ③ 京都橘大学のキャリア教育の大きな特色は、就職進路課(キャリアセンター)とも深く連携していることです。正課外の各プログラムを実施する際には、正課授業での取組内容を確認の上、内容を編成しています。正課の授業でインプットした内容を正課外の講座やセミナーでアウトプットする、この繰り返しによって正課授業と正課外プログラムが有機的につながり、みなさんの就業力向上の一助となります。いわば、キャリアセンターのセミナーや講座は、主にキャリア関連科目で学習した内容を実践して経験を積み重ねていく場だと理解してください。

京都橘大学のキャリア教育では、「越境力」と「未来構想力」がキーワードです。

越境力と未来構想力とは
越境力
○ 多様性の中で自分自身の境界を越える力。
○ 主に「個人の壁」と「所属集団の壁」を越えることで開発・形成されていく。
○ 開発機会は、インターンシップやプロジェクト活動など。
未来構想力
○ 不確実な社会の中で自分自身や周囲の環境の未来を構想する力。
○ 「学生生活」や「卒後生活」、「社会のあり方」を構想・デザイン・実行することで開発・形成されていく。
○ 開発機会は、専門科目、キャリアデザイン系科目やキャリアセンターでのキャリアカウンセリングなど。
越境力と未来構想力が往還しながら学生としてのキャリアが形成され、卒後キャリアにつながっていきます。