1. 救急救命学科教育理念
(1)教育研究上の目的
健康科学部は、心理、医療の各分野の専門的知識や技術を習得し、幅広い教養と豊かな人間性を身につけ、新たな課題に対応できる問題解決能力を備えた人材を養成する。救急救命学科は、救急救命の専門知識および実践力を身につけ、医療と地域社会の課題解決に貢献できる質の高い救急救命士を育成することを目的とする。
(2)ディプロマポリシー(学位授与方針)
救急救命学科は、教学理念および学部・学科の教育研究上の目的に則り、幅広い教養と救急救命の専門的な知見と技能の修得を通じ、医療と地域社会が抱える課題について、豊かな知識と人間性を基礎に、柔軟かつ責任を持って対応することのできる人材を育成することをめざしている。そのために救急救命学科では、この教育目標に基づき、次のような知識・能力を身につけ、所定の単位を修得した者に学位(救急救命学)を授与する。
- ① 救急救命を中心とした医学に関する総合的な知識および救急救命学に関する技能を身につけている。
- ② 救急救命士として必要とされる総合的な観察力、コミュニケーション力およびリーダーシップを身につけている。
- ③ 論理的思考と科学的手法を用いて、ものごとを検証し、問題解決できる能力を身につけている。
- ④ 生涯にわたって自ら学び続けるために必要な幅広い教養と探求心を身につけている。
(3)カリキュラムポリシー(教育課程の編成・実施方針)
学位授与に必要とされる能力(ディプロマポリシー)を修得するために、健康科学部救急救命学科では、以下の方針で教育課程を編成する。
- ① 幅広く豊かな教養と視野を身につけるため、人文科学、社会科学、自然科学などの多岐にわたる科目を配置する。
- ② 対象者のニーズに合わせたより質の高い包括的な医療の提供や安全な医療制度の持続可能性に寄与するために、必要な基礎的知識および専門職者間の連携や協働を学ぶ「たちばなチーム医療科目群」を開講する。
- ③ 生涯にわたって探究心を持って学び続ける能力と姿勢を身につけるため、スタディスキル、アカデミックスキル、社会人・医療人として必要な論理的思考力について、4年間を通じて段階的に養成する演習科目および「卒業研究」「課題研究」を配置する。
- ④ 基礎医学や公衆衛生の知識を身につけるため、専門分野に基礎医学領域を置く。
- ⑤ 救急救命学に関する基礎的な理論と技能を学ぶ目的で、専門分野に救急医学領域を置き、内科・外科系科目を段階的に配置する。
- ⑥ 救急救命学の知識をより具体的な問題と関連づけ、幅広い視野で救急救命について考えられるよう、専門分野に学生の関心で選択できる専門関連科目を配置する。
- ⑦ 救急救命士として不可欠なコミュニケーション力およびリーダーシップを身につけ、救急救命士としての技能と実践力を養うために、各回生に「救急救命実習」を配置する。また、病院や消防機関での臨地実習を配置し、医療現場での実践力を修得する。
- ⑧ 救急救命士になるために必要な知識を身につける「キャリア開発演習」等を配置する。
- ⑨ 高齢者や障害者、こども等さまざまな年齢層・背景を持った人々との交流を通じ、他者を理解し思い遣る気持ちを育むため、「福祉とボランティア」「地域連携実習」を配置する。
2. 教育課程
(1)カリキュラムのねらい
下の表は、各学科・コース別に、専門教育科目の獲得目標を一覧化したものです。その後に続く、学科・コースのカリキュラム表と併せ、受講登録はもちろん、4年間でどのような学力を身につけ卒業に向かうのか、計画を立てる際に参考にしてください。
(2)各回生の到達目標
ディプロマ・ポリシー(DP)
- ① 救急救命を中心とした医学に関する総合的な知識および救急救命学に関する技能を身につけている。
- ② 救急救命士として必要とされる総合的な観察力、コミュニケーション力およびリーダーシップを身につけている。
- ③ 論理的思考と科学的手法を用いて、ものごとを検証し、問題解決できる能力を身につけている。
- ④ 生涯にわたって自ら学び続けるために必要な幅広い教養と探求心を身につけている。
1回生
- ① 基礎医学的知識や日本の救急医療制度に関する基本的知識を身につける。
- ② 社会で求められる情報処理能力の基礎を身につける。
- ③ 記録のまとめ方や口頭発表の方法など理解力、思考力、表現力の基礎力を身につける。
- ④ 人間を取り巻く文化、社会、自然への関心を持つ。
2回生
- ① 専門分野を意識した学習計画を立て人間をとりまく文化、社会・自然への関心を広げる。
- ② チーム活動の意思疎通のコミュニケーション能力を身につける。
- ③ 言語的表現「読む、書く、話す」の理解力、思考力、表現力を高める。
- ④ 専門医学知識を身につけ、特定行為の根拠と具体的な技術を身につける。
3回生
- ① 専門的医学知識を深め、救急救命士としての基本的活動に必要な総合力を身につける。
- ② 理論的思考力や表現力、コミュニケーション能力を身につける。
- ③ ラーニング・コミュニティを組織し、自発的に教養を高める。
- ④ 進路やキャリアを意識し、臨床経験を通して医療従事者としての自覚に結びつける。
4回生
- ① 救急救命士として専門的な医学知識と総合的な観察力・処置能力を身につける。
- ② コミュニケーション能力や教養を高めるため自己研鑽を積む。
- ③ ラーニング・コミュニティでの議論を通じて論理的思考力を高める。
- ④ 医療従事者としての自覚の高揚、プロ意識の醸成に結びつける。
(3)カリキュラムの概要
科目 習得目標 |
① 救急救命を中心とした医学に関する総合的な知識および救急救命学に関する技能 |
② 救急救命士として必要とされる総合的な観察力、コミュニケーション力およびリーダーシップ |
③ 論理的思考と科学的手法を用いて、ものごとを検証し、問題解決できる能力 |
④ 生涯にわたって自ら学び続けるために必要な幅広い教養と探求心 |
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1回生 | 医療と生命の倫理 | |||
IPW演習Ⅰ | IPW演習Ⅰ | |||
たちばなチーム医療科目群選択必修科目 | ||||
人体の構造と機能演習Ⅰ(形態と構造)
人体の構造と機能演習Ⅱ(生体の諸器官の働き) 病理学 公衆衛生 |
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救急救命学総論Ⅰ(救急救命士の使命) | ||||
救急救命関係法規 | ||||
福祉とボランティア | 福祉とボランティア | |||
救急救命実習Ⅰ | ||||
アカデミックスキルズⅠ | ||||
2回生 | たちばなチーム 医療科目群自由科目 |
たちばなチーム 医療科目群自由科目 |
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生化学・微生物学 | ||||
救急疾病Ⅰ(循環系、呼吸系等)
救急疾病Ⅱ(神経系、消化系等) 救急病態生理学Ⅰ(循環系、呼吸系等) 救急病態生理学Ⅱ(神経系、各種ショック等) 救急外傷医学Ⅰ(外傷総論、頭部・体幹外傷) 救急外傷医学Ⅱ(運動器外傷、熱傷等) 救急救命学総論Ⅱ(病院前医療) 救急処置各論Ⅰ(傷病者観察) |
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救急救命実習Ⅱ | ||||
専門分野選択必修科目 | 専門分野選択必修科目 | |||
アカデミックスキルズⅡ | ||||
地域連携実習 | ||||
3回生 |
臨床病態学
救急症候学Ⅰ(胸部疾患、腹部疾患等) 救急症候学Ⅱ(神経疾患、呼吸器疾患等) 救急疾病Ⅲ(筋・骨格系、泌尿・生殖系等) 救急処置各論Ⅱ(薬物と検査) 急性中毒学・環境障害 小児科学 精神医学 産婦人科学 |
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救急救命災害演習
救急救命同乗実習 救急救命病院実習 |
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救急救命実習Ⅲ | ||||
専門分野選択必修科目 | 専門分野選択必修科目 | |||
課題発見演習 または 救急救命研究法 | ||||
4回生 | IPW演習Ⅱ | |||
救急救命実習Ⅳ
課題研究 または 卒業研究 |
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救急救命総合演習 |
(4)履修条件
本学では、系統的で継続性のある効果的な学習を実現することを目的として、一部の科目に履修条件(履修制限)を設定しています。
回生 | 対象科目 | 履修条件 |
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2回生 | 救急救命実習Ⅱ | 1回生配当の「救急救命実習Ⅰ」を修得済みあること。 |
3回生 |
救急救命実習Ⅲ
救急救命災害演習 救急救命同乗実習 救急救命病院実習 |
2回生配当の「救急救命実習Ⅱ」を修得済みあること。 |
「救急救命学科の専門分野」の科目 | 1・2回生配当の「救急救命学科の専門分野」の科目のうち指定する20科目※のうち18科目以上を修得済みであること。 ※指定する科目 人体の構造と機能演習Ⅰ・Ⅱ、病理学、公衆衛生、生化学・微生物学、救急救命学総論Ⅰ(救急救命士の使命)・Ⅱ(病院前医療)、救急救命関係法規、地域連携実習、救急処置各論Ⅰ(傷病者観察)、救急病態生理学Ⅰ(循環系、呼吸系等)・Ⅱ(神経系、各種ショック等)、救急外傷医学Ⅰ(外傷総論、頭部・体幹外傷)・Ⅱ(運動器外傷、熱傷等)、救急疾病Ⅰ(循環系・呼吸系等)・Ⅱ(神経系、消化系等)、キャリア開発演習Ⅰ・Ⅱ、アカデミックスキルズⅠ・Ⅱ |
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4回生 | 救急救命実習Ⅳ | 3回生配当の「救急救命実習Ⅲ」「救急救命同乗実習」「救急救命病院実習」「救急救命災害演習」を修得済みであること。 |