看護学部 看護学科

1. 看護学科教育理念

(1)教育研究上の目的

看護学部は、生命に対して深い畏敬の念を抱き、看護の実践と創造を通して社会に貢献できる人材を養成する。看護学部看護学科は、豊かな人間性とコミュニケーション能力を備え、俯瞰力と深い倫理観をもった看護専門職者を養成する。

(2)ディプロマポリシー(学位授与方針)

看護学部看護学科は、教学理念および学部・学科の教育研究上の目的に則り、めまぐるしく変化する社会にあって、どのような環境や状況においても看護専門職としての責務を自覚し、「人によりそう看護」を創造し実践できる人材を養成する。そのために看護学科では、この教育目標に基づき、次のような能力を身につけ、所定の単位を修得した者に学士(看護学)の学位を授与する。

  1. ① 創造的な発想、多角的な視点を持ち、新しい看護を生み出し社会に発信できる力を身につけている。
  2. ② あらゆる環境において、歴史的・社会的・文化的に多様な背景を持った、生活を営む人々について考えられる力を身につけている。
  3. ③ 自己理解と他者理解を深め、人々との良好な関係とネットワークを築くことができる力を身につけている。
  4. ④ 自然との関係の中で人をとらえ、生命機能のメカニズムや生命の尊さを考えることができる力を身につけている。

(3)カリキュラムポリシー(教育課程の編成・実施方針)

看護学部看護学科は、ディプロマポリシーとして掲げる4つの能力を身につけるため、看護学の視点に立った保健師・助産師・看護師の3職種の基盤となる教育を展開する。そのカリキュラムは、「人によりそう看護」を基盤に、それぞれに教育目標を明示した、講義・演習・実習を組み合わせた9つの授業科目群で編成・実施する。なお、専門科目を学ぶ基盤として、共通教育カリキュラムのうち、「たちばなBasisⅠ・Ⅱ」「ITリテラシー」「英語Ⅰ・Ⅱ」を必修科目として配置する。また、学科の学修を円滑に進め、また自立・共生・臨床の知を体現するための基礎的な素養を育むため、共通教育科目にたちばなSeeds、教養教育科目群、多文化交流科目群、キャリア形成科目群およびスポーツ・健康科目群を配置する。

教育課程の編成

  1. ① 看護学を学ぶための主体的な姿勢や基礎的な能力を養うために、「キャリア開発演習Ⅰ~Ⅳ」「IPW演習」等を配置する。
  2. ② 様々な環境で多様な生活を営む人々を理解するための基礎的な能力を養うために、「災害看護学」「国際看護学」「プライマリヘルスケア」等を配置する。
  3. ③ ライフサイクルの視点を通して、人々を理解し、他者との関係性を築く能力を養うために、「家族看護学」「対人ネットワーク論」「ライフサイクル論」等を配置する。
  4. ④ ライフサイクルを基盤に生命科学の視点から人々を理解する能力を養うために、「フィジカルアセスメント」「ライフサイクル疾病論」等を配置する。
  5. ⑤ 看護を創造し、社会に発信するための基礎的な能力を養うために、「看護創造論」「統計学基礎論」等を配置する。
  6. ⑥ 多様な背景や価値観をもつ人々が生活する中で生じる課題に向き合う(対応する)能力を養うために、「災害看護学」「看護管理学」「看護倫理」「国際看護学」等を配置する。
  7. ⑦ 地域で暮らす人々の健康を支える看護を実践する能力を養うために、「プライマリヘルスケア演習」「生涯健やか看護学」「生涯健やか事業構想論」等を配置する。
  8. ⑧ 医療ニーズの高い人々に対して看護を実践する能力を養うために、「健康回復看護学」「ヘルスクライシス疾病論」「助産診断学」等を配置する。
  9. ⑨ 人によりそう看護を創造・実践し、社会に貢献できる能力を養うために、「看護学原論」「看護教育学」「エンドオブライフケア論」「総合看護学実習」「IPW演習」「生涯健やか事業展開実習」等を配置する。

教育方法

学生が体系的に学びを進めるなかで、各科目の到達目標に達し、ディプロマポリシーに示す能力等を修得できるよう、次のように教育を行う。

  1. ① シラバスや履修の手引き等に、カリキュラムマップや科目の到達目標・授業計画等を明示し、学生に履修・学修の指導を行うことで、学生の体系的な学びを促進する。
  2. ② 多様な授業形態のなかから、各科目の到達目標・内容に適した形態で授業を行うことで、学生の理解を促進する。

学修成果の評価

ディプロマポリシーに示す能力等の修得度合としての学生の学修成果は次のように評価する。

  1. ① ディプロマポリシーに則した到達目標や成績評価方法を科目ごとに設定し、シラバス等で明示したうえで、成績段階を決定する。

2. 教育課程

(1)各回生の到達目標

ディプロマ・ポリシー(DP)

  1. ① 創造的な発想、多角的な視点を持ち、新しい看護を生み出し社会に発信できる力を身につけている。
  2. ② あらゆる環境において、歴史的・社会的・文化的に多様な背景を持った、生活を営む人々について考えられる力を身につけている。
  3. ③ 自己理解と他者理解を深め、人々との良好な関係とネットワークを築くことができる力を身につけている。
  4. ④ 自然との関係の中で人をとらえ、生命機能のメカニズムや生命の尊さを考えることができる力を身につけている。

カリキュラム目標

  • 区分1

    看護学を学ぶための主体的な姿勢や基礎的な能力を養う。

  • 区分2

    様々な環境で多様な生活を営む人々を理解するための基礎的な能力を養う。

  • 区分3

    ライフサイクルの視点を通して、人々を理解し、他者との関係性を築く能力を養う。

  • 区分4

    ライフサイクルを基盤に生命科学の視点から人々を理解する能力を養う。

  • 区分5

    看護を創造し、社会に発信するための基礎的な能力を養う

  • 区分6

    多様な背景や価値観をもつ人々が生活する中で生じる課題に向き合う(対応する)能力を養う。

  • 区分7

    地域で暮らす人々の健康を支える看護を実践する能力を養う。

  • 区分8

    医療ニーズの高い人々に対して看護を実践する能力を養う。

  • 区分9

    人によりそう看護を創造・実践し、社会に貢献できる能力を養う。

1回生

看護の基本概念を理解するとともに、多様な背景をもち生活を営む人々について理解するための基礎的な能力を養う。

区分1
看護に関心をもち主体的に学ぶ基礎的な能力を身につける。
区分2
多様な環境における人々の健康や生活に関心を寄せ、生活や健康に影響する要因を踏まえた援助方法を検討することができる。
区分3
ライフサイクルにおける人々の生活を述べることができる。自分自身をモニタリングすることができる。
区分4
人体の構造と機能について学び、健康状態をアセスメントする基礎的な能力を身につける。
区分5
看護を創造し発信するための情報の活用方法や、情報を処理する基礎的手法を習得することができる。
区分6
哲学的な観点をもち、多様な価値観、倫理観を対象者理解に活用することができる。
区分7
地域で生活するライフサイクル各期の人々を取り巻く環境や生活と健康との関係を述べることができる。
区分8
看護の対象となる人々の健康維持・促進および健康回復に関心を寄せることができる。
区分9
多様な背景を持つ人によりそう看護を実践するための基礎概念、看護理論の必要性を記述することができる。
2回生

看護の実際に触れながら、他者と良好な関係を構築し、看護を実践する基礎的能力を養う。

区分1
他者との討議の中で論理的かつ客観的思考を整理することができる。
区分2
多様な生活環境における健康課題が明示でき、その課題を解決する方法を検討することができる。
区分3
対象理解に必要な情報を収集し、他者との関係性を構築することができる。
区分4
ライフサイクルに関連した疾患を踏まえて対象を理解し、それに対する援助を考えることができる。
区分5
看護を含む様々な学問や理論に触れ、看護の役割や専門職としてのやりがいを見出すことができる。
区分6
多様な価値観、倫理観を尊重したコミュニケーションをとることができ、他者との良好な関係を構築することができる。
区分7
地域で暮らす人々の健康課題を見出し、課題解決方法を計画し、対象者との関係を構築しながら実施、評価することができる。
区分8
医療ニーズがある人々の健康上の課題をアセスメントし、看護技術を正確に実践することができる。
区分9
看護の実践を理論と関連付けて考察し、他者の経験を聞き、共有しながら、よりそう看護について議論できる。
3回生

自らの看護実践を通して、課題を見つけ解決する力を養うとともに、対象者一人ひとりに合わせたより良い看護を実践できる能力を養う。

区分5
看護を探求するために必要となる看護研究についての基礎的知識を習得することができる。
区分6
看護の倫理的配慮および看護管理的な視点をもって、対象者の有する課題を見出し、課題解決に向けて取り組むことができる。
区分7
環境、生活、健康を関連させて健康課題を分析し、対象者に合わせた看護を実施することができる。また、多職種連携の意義やその中での看護の専門性を明示することができる。
区分8
既習の知識や看護技術を用いて医療ニーズの高い対象者に合わせた看護を実践することができる。
区分9
対象者一人ひとりに合わせた看護を創造・実践することができる。
4回生

看護の本質を追究しつつ、よりそう看護を創造し、社会に貢献できる能力を養う。

区分5
社会の変遷を分析し、未来のよりそう看護を創造し提案することができる。
区分6
いかなる場においても対象者を尊重し、生じた課題に向き合い、課題解決に向けた看護を創造することができる。
区分7
地域や現代社会における健康課題が明示でき、課題解決のために必要なプロセスを踏まえた、人々によりそう看護を創造できる。
区分8
医療ニーズの高い人々に対して、既存の知識や看護技術を応用した看護を創造することができる。
区分9
人の生涯によりそう看護の本質を創造・実践しつづけることができる。
ディプロマ・ポリシー(DP)

(2)カリキュラムのねらい

看護学部看護学科では、時代や社会の変化に対応しながら、看護の本質は何か、役割は何かを常に考え、実践し、創造できる人材を育成することを目指し、カリキュラムを構築しています。
4つのディプロマポリシーを4原色にたとえ、重なり合う部分等を合わせてカリキュラムポリシーの主軸となる9つの教育目標を設定しました。その組み合わせによって、多様な看護実践の方向性とあり方を学びます。特に、今後さらに拡大する看護の場において、看護の意味と役割を考え、自らが新たな看護方法論を創造できる基礎的な力を育むための科目を重視し、また地域社会における看護の場をさらに中心に据えています。その一方で、加速化する情報化社会、科学技術のさらなる進歩においては、人と人とのつながりが重要であるため、改めて、自己理解と他者理解を深め、人として、そして看護に必要な対人関係や他者を思いやる感性を磨くための科目も重視しています。
4原色の中心に位置する白い部分は看護の本質を問う部分です。この部分は常に「人によりそう看護」とは何かを問い続けるために、自身の学びを確認できる科目でもあります。そして、卒業後は、この白い色に卒業生独自の「人によりそう看護」の色をつける、創造していくという意味を持たせたカリキュラムを展開しています。

(3)学修成果の評価

看護学部は、ディプロマポリシー、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシーに基づき、教育プログラムレベル、科目レベルで、毎年、学生の学修成果を評価・把握し、教育および学習の改善につなげます。そして、明らかになった課題については、看護学部における組織の課題として取扱い、組織改善を含む教育改善を行っていきます。
また、学生自らが到達度を把握し、学生自身が学習課題を明確にしながら主体的に学び成長していけるよう支援します。

(4)カリキュラムの概要

看護学部のカリキュラムは、看護系大学における教育課程として、資格取得とリベラルアーツを有機的に関連させ、看護学の視点に立った保健師・助産師・看護師の三職種統合教育を目指しています。時代や社会の変化に対応しながら、看護の本質は何か、役割は何かを常に考え、実践し、創造できる人材を育成することを目指し、カリキュラムを構築しています。
9つの教育目標の組み合わせによって、多様な看護実践の方向性とあり方を学びます。特に、今後さらに拡大する看護の場において、看護の意味と役割を考え、自らが新たな看護方法論を創造できる基礎的な力を育むための科目を重視し、また地域社会における看護の場をさらに中心に据えています。その一方で、加速化する情報化社会、科学技術のさらなる進歩においては、人と人とのつながりが重要であるため、改めて、自己理解と他者理解を深め、人として、そして看護に必要な対人関係や他者を思いやる感性を磨くための科目も重視しています。

回生 1回生 2回生 3回生 4回生
各回生の目標 看護の基本概念を理解するとともに、多様な背景をもち生活を営む人々について理解するための基礎的な能力を養う。 看護の実際に触れながら、他者と良好な関係を構築し、看護を実践する基礎的能力を養う。 自らの看護実践を通して、課題を見つけ解決する力を養うとともに、対象者一人ひとりに合わせたより良い看護を実践できる能力を養う。 看護の本質を追究しつつ、よりそう看護を創造し、社会に貢献できる能力を養う。
区分1
看護学を学ぶための主体的な姿勢や基礎的な能力を養う。
キャリア開発演習
キャリア開発演習
IPW演習
キャリア開発演習
キャリア開発演習
区分2
様々な環境で多様な生活を営む人々を理解するための基礎的な能力を養う。
プライマリヘルスケア
プライマリヘルスケア
災害看護学
プライマリヘルスケア
国際看護学
区分3
ライフサイクルの視点を通して、人々を理解し、他者との関係性を築く能力を養う。
ライフサイクル論
家族看護学
対人ネットワーク論
生涯健やか看護学実習-1(通所)
区分4
ライフサイクルを基盤に生命科学の視点から人々を理解する能力を養う。
医療と生命の倫理
フィジカルアセスメント
フィジカルアセスメント
フィジカルアセスメント演習
フィジカルアセスメント演習
ライフサイクル疾病論
区分5
看護を創造し、社会に発信するための基礎的な能力を養う。
疫学保健統計
統計学基礎論
看護創造論 キャリア開発演習
キャリア開発演習
看護創造論
区分6
多様な背景や価値観をもつ人々が生活する中で生じる課題に向き合う(対応する)能力を養う。
災害看護学 ※1 看護倫理
看護管理学
看護管理学A※2
看護管理学B※2
国際看護学※2
区分7
地域で暮らす人々の健康を支える看護を実践する能力を養う。
生涯健やか看護学実習 プライマリヘルスケア演習
生涯健やか看護学実習-2(施設)
生涯健やか看護学
生涯健やか看護学演習
生涯健やか看護学実習-1(訪看)
生涯健やか看護学実習-2(訪看)
生涯健やか看護学実習-3(母性)
生涯健やか看護学実習-4(包括)
生涯健やか事業構想論※1
区分8
医療ニーズの高い人々に対して看護を実践する能力を養う。
健康回復看護学
健康回復看護学
健康回復看護学演習
健康回復看護学演習
健康回復看護学実習(病院)
ヘルスクライシス疾病論
健康回復看護学
健康回復看護学演習
健康回復看護学演習-1(急性期)
健康回復看護学演習-2(こども)
健康回復看護学実習-3(こころ)
助産診断学※1
助産技術学※1
区分9
人によりそう看護を創造・実践し、社会に貢献できる能力を養う。
看護学原論 看護学原論 看護教育学 看護学原論
看護教育学※2
総合看護学実習
エンドオブライフケア論
キャリア開発演習
キャリア開発演習
IPW演習
助産学実習※1
生涯健やか事業展開実習※1
共通教育科目 たちばなBasisⅠ・Ⅱ、ITリテラシー、英語A・B、英語A・B

※1...自由科目 ※2...4科目から選択必修

(5)履修条件

看護学部のカリキュラムは、系統的に構成されています。したがって、次の履修条件を満たさなければ、履修できない科目があります。

  1. ① 各回生において、後期に開講される区分1〜9の必修科目を履修するには、前期に開講される共通教育科目および区分1〜9の必修科目のうち、以下の科目を除いた全ての科目を修得済みであること

    共通教育科目
    「英語A」「英語B」「英語A」「英語B」「ITリテラシー」
    区分5
    「疫学保健統計」
  2. ② 2回生以上配当の前期に開講される区分1〜9の必修科目を履修するには、前年度後期までに開講される共通教育科目および区分1〜9の必修科目のうち、以下の科目を除いた全ての科目を修得済みであること
    共通教育科目
    「英語A」「英語B」「英語A」「英語B」「ITリテラシー」
    区分5
    「疫学保健統計」
  3. ③ 別表1のとおり、履修条件として記載している科目の履修状況によっては、記載の実習科目を履修できないことがある
  4. ④ 別表2のとおり、履修条件に記載の科目を修得または履修していない場合は、記載の自由科目を履修できない

【 別表1 】

対象科目 履修条件
生涯健やか看護学実習-2(施設) 「健康回復看護学」「健康回復看護学演習」「プライマリヘルスケア」「プライマリヘルスケア演習」
健康回復看護学実習(病院) 「健康回復看護学」「健康回復看護学演習

【 別表2 】

対象科目 履修条件
生涯健やか事業構想論 希望する自由科目以外の区分7の全ての科目を修得済み
助産学実習 「助産診断学」を修得済み、「助産技術学」「看護管理学B」を履修していること
生涯健やか事業展開実習 「生涯健やか事業構想論」を履修していること
英語A〜Bについて
本学では、系統的で継続性のある効果的な学修を実現することを目的として、履修条件(履修制限)を設定しています。
対象科目 履修条件
英語 A/英語A 英語AまたはAを修得済みであること。
英語 B/英語B 英語BまたはBを修得済みであること。

3. 取得できる免許・資格

(1)取得可能資格一覧

資格名称 対象学部・学科
看護師国家試験
受験資格
看護学部全員
助産師国家試験
受験資格
看護学部生のうち選択履修者
保健師国家試験
受験資格
看護学部生のうち選択履修者
教育職員(養護教諭一種)
免許状
看護学部生のうち選択履修者
  • ※ 4回生の2月頃に、看護師、保健師、助産師国家試験があります。詳細については、国家試験受験ガイダンスで説明します。
  • ※ 教育職員(養護教諭二種)免許状:保健師の免許を受けている者に限り、施行規則第66条の6に定める科目(※1)単位を修得することで、都道府県教育委員会への申請により取得できます。
  • (※1) 養護教諭一種免許状のページ参照

(2)取得可能な免許・資格

(3)取得可能な受験資格