1. 教育課程
(1)コースの特徴
日本語日本文学コースの開講科目は、古典文学、近代文学の理解をめざす「日本文学領域」、日本語、日本語教育の「日本語学領域」および伝統文化からアニメ・漫画まで国際的な視野から日本文化の理解をめざす「国際日本文化領域」の3つの専門領域の授業科目から成り立っています。3つの専門領域は、それぞれに独立した領域でありながらも、密接な関係を持つものです。日本文学や日本のアニメ・漫画を学びたくて日本語を学んでいる外国⼈も多く、また日本文学やアニメ・漫画の知⾒が世界的な視野から日本文化の研究に応用される場合もあります。「日本文学領域」の科目群は、古典文学から近現代文学を幅広く学び、俳句等の創作演習にも取り組むことができます。「日本語学領域」の科目群は、日本語文法や日本語史、外国人に日本語を教える日本語教授法を幅広く学び、海外で外国人に日本語を教える日本語教育実習にも取り組むことができます。「国際日本文化」の科目群は、日本文学や日本語学の学習を通じて習得した知識や感性を基盤として国際⼈として成長しキャリア形成に資するようカリキュラムが組み立てられています。
密接な関係を持った本コースのカリキュラムは、学年が進むにしたがって、基礎的で総合的な科目から、各分野のより専門的で高度な知識や技術が獲得できるような科目へというように配列されています。自ら設定したテーマの解明に取り組む3・4回生での「日本語日本文学演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」を有意義なものにするためには、低回生から、多様な分野の科目を履修し、それぞれの興味を深め、良質な知識や技術を、それぞれの興味に応じて自ら取り込んでいく、しなやかな感性が必要です。本コースでは、そのような感性を養うに充分に豊富な授業科目が開講されています。好奇心を持って、積極的に授業に臨んでください。
(2)各回生の到達目標
下の表は、各学科・コース別に、専門教育科目の獲得目標を一覧化したものです。その後に続く、学科・コースのカリキュラム表と併せ、受講登録はもちろん、4年間でどのような学力を身につけ卒業に向かうのか、計画を立てる際に参考にしてください。
ディプロマ・ポリシー(DP)
- ① 日本語の特質を理解し、豊かなコミュニケーション能力を身につけている。
- ② 各時代の文学を読解するための、基礎的な語彙力や表現力を身につけている。
- ③ 作品や文章を通して、人間や社会に関する課題を発見し、考察する力を身につけている。
- ④ 日本文化に関する総合的な理解を深めていくことで、国際化が進行する社会にふさわしい知性やコミュニケーション力を身につけている。
- ⑤ 書の制作や書学研究を深めることにより、自身の感性を磨き、豊かな創造力と表現力を身につけている。
1回生
大学での勉強は、高校までの勉強とは違い、覚えることよりも、よく考えることが求められます。日本の伝統文化や日本文学を取り上げるなら、なぜその時代にそのような作品が⽣まれたのか、その文章にはどのような読みが可能なのか、なぜそのような表現を用いたのか、などの考察が必要になります。日本語では、「は」と「が」ではどう違うのか、現在の方言分布は何に起因するのかなど、今まであまり考える機会がなかったことを学び、新しい視点を持ってもらうことになります。アニメ・漫画の場合にも、グローバルな視点からサブカルチャーの価値を探求します。〈考える〉という行為を行うためには新しい知識や方法を吸収することが必要不可欠だからです。
作品や言葉に向かいつつ学び方を勉強する「研究入門ゼミ」と、現場において知識を活用する方法を学ぶ「言語文化総合演習」、基礎的知識を学ぶ「日本文学史」、「日本語学概説」、「国際日本文化講義」があります。
2回生
1回生の「研究入門ゼミ」に続く「基礎演習」を履修することで、日本文学と日本語学、国際日本文化の各領域の基礎力が身につくようになっています。「言語文化総合演習」では引き続き、活動の中で知を獲得することを目指します。その他に、2回生以降の回生では、さまざまな領域にわたる講義科目によって作品の解釈や言語調査などのアプローチも行います。
2回生で3回生以降に所属するゼミを選択することになりますが、はじめから対象を狭く絞ってしまわずに、2回生まではできるだけ広い知識と視野を獲得するように努力してください。はじめて出会う作品や領域の中に自分の成長を促す発見をすることもあるのです。
3回生
日本文学、日本語学や国際日本文化に関わる講義科目の履修を進めることで、学問の幅と奥行きの広さを感じることができます。
3回生では「日本語日本文学演習」によって、卒業研究への取り組みが始まります。
卒業研究で問われるのは、問題発⾒能力とそれを解決する能力です。どんな問題が⾒つけられるか、何に興味を惹かれるかは、それまでの学習によって培われた力がものを⾔うわけですから、主体的に授業に参加してください。
4回生
いよいよ卒業研究に本格的に取り組むことになります。余裕のある人は、単位が揃っていても、テーマに関連する科目を受講して考えを深めてください。後期が始まるとまもなく卒業研究の中間発表を行うことになります。ですから、夏休み中にはおおよそのアウトラインを引いておく必要があります。早目の準備を心がけましょう。
卒業論文への取り組みは、安易な結論を出さずに考えつづける力を育てるとともに、創意工夫によって疑問を乗り越える能力を獲得することで、社会に乗り出す力を与えてくれます。