1. コースの特徴
児童教育コースは、主として小学校教諭を中心とした教員養成を行います。また、幼稚園教諭1種免許状も取得できます。教育への情熱を持ち、子どもを深く理解し、積極的にかかわろうとする意欲のある教師の養成をめざします。
小学校教育は、何よりも知・情・意の全領域においてバランスの取れた人間を育てる課題を担っています。日本は経済的にも文化的にも高度に発達した社会です。そのような社会で一人前に生きていくためには、あらゆる分野における基礎的能力と統合力を身につけている必要があります。
さらに人間としての倫理性、すなわち正義感や友情、思いやりを身につけさせ、自然の美しさや芸術的表現に感動する心を育てることもまた小学校教育の課題です。そのため、児童教育コースでは以下のことを重視します。
(1)小学校教諭をめざす場合
- ① 子どもと教育についての理論と実践を学び、自らの子ども観・教育観を磨く。
- 現代社会に生きる子どもたちの状況を様々な面から深くとらえ、その子どもたちの成長・発達のために何ができるかを主体的に考え、情熱を持ち粘り強く取り組みことができる教師を育てる。そのために、子どもの発達や教育について深く掘り下げる姿勢、そして現代社会の様々な困難に直面する子どもたちに共感的に関わる中で自らも学び成長しようとする姿勢を育む。
- ② 教えること、育むことの基本を理解し実践する力をつける。
- 教えることの要は授業づくりである。カリキュラムを考え、授業をデザインし、子どもと共に授業をつくる力が求められる。教え込みに陥らず子どもの主体的な学びを引き出す授業づくりは単なる技術ではない。各教科内容の背後に横たわる学問への深い理解に基づく指導が求められる。そのために各教科の概論を学び、それらをふまえて教科・領域での教育方法を学ぶ。さらに、現実的な課題についての総合的な学び、子ども同士の学び合いや話し合いを重視した授業、ICTの活用など新たな学習のあり方についても理解を深める。そうして獲得した知識や技能を、教育実習を通して検証し、より実践的なものとしていく。
育むことの要は学級づくりである。子どもが安心して過ごすことができ、仲間との豊かな関係を築けるような学級づくりのためには、教師の人間性や子どもに対する共感的なまなざしが不可欠である。それを深めるために、日本の教師たちの学級づくりや生活指導の豊かな実践から学ぶことを重視する。 - ③ 教育実践への反省力を身につける。
- 授業づくりも学級づくりも、生きた子どもと教師との相互の関わりの中でなされる。そこで教師に求められるのは、子どものつぶやきや小さな変化をとらえ、評価と自己反省を行いながら前へ進む姿勢である。様々な失敗はつきものであり、それにめげずに失敗から学ぶことのできる姿勢を育む。そのためにゼミなどで、自分の実践を客観的に分析し、批判的に検討することを不断に行う。
- ④ 人間的な魅力にあふれ、子どもたちに共感できる教師になる。
- 大学生活でも授業だけでなく、サークル活動、地域での社会的な活動、読書や芸術や自然体験などに積極的に取り組む中で、他者との協同の経験を豊かに積み、人間的な成長をめざしてほしい。
- ⑤ ゆたかな共感能力と交流能力を育てる
- 人間的な魅力にあふれ、子どもたちといっしょに学び合い、喜び悲しみをともにすることのできる教員となれるように努力する。なお、幼稚園教諭1種免許状取得の場合は、幼児教育コース記載の【幼稚園教諭をめざす場合】を参照してください。
2. 教育課程
下の表は、各学科・コース別に、専門教育科目の獲得目標を一覧化したものです。その後に続く、学科・コースのカリキュラム表と併せ、受講登録はもちろん、4年間でどのような学力を身につけ卒業に向かうのか、計画を立てる際に参考にしてください。
(1)各回生の到達目標
ディプロマ・ポリシー(DP)
- ① 小学校教員・保育者として必要とされる基礎的な知識や考え方を身につけている。
- ② 子どもが育つ道筋を理解し、子どもに働きかける力を身につけている。
- ③ 人間の尊厳への敬意を払い、相手の気持ちや考えを尊重する態度を身につけている。
- ④ 多様な背景を持つ人々を受け入れ、他者と協働する力を身につけている。
- ⑤ 専門的な知識に基づき自ら問題を発見し、解決する力を身につけている。
1回生
- ① 大学での学習を深めるためのアカデミックスキルを身につける。
- ② 主体的に学習に取り組むとともに積極的に人に関わる態度を育てる。
- ③ 教育のあり方についての基礎的な考え方や知識を得る。
2回生
- ① PBL学習を通して自分の考えを整理し、論理的に表現することができる。
- ② 教育を社会、地域、家庭の現実との関わりの中でとらえ、子どもを理解し、保護者に共感する態度を育てる。
- ③ 各教科・領域の指導内容や指導方法について理解し、実践する能力を育てる。
3回生
- ① 子どもを支援し、子どもを取り巻く人々とつながることのできる専門的な知識と技能を育てる。
- ② 各教科・領域の指導を構想し実践する能力を育てる。
- ③ 教育実習を通して、実践力とそれを振り返る反省力を育てる。
4回生
- ① 教育や人間発達に関する課題を見つけ、その課題を理論的に探求し、自分自身の考えを論理的に述べることのできる能力を育てる。
- ② 現代社会における教育の課題をふまえて、教師として、社会人として学び続ける態度を育てる。
- ③ 学校や地域と関わる中で、教師や社会人としてふさわしい人間性と資質を磨く。
ディプロマ・ポリシー(DP)
(2)履修条件
本学では、系統的で継続性のある効果的な学修を実現することを目的として、一部の科目に履修条件(履修制限)を設定しています。
2-1. 小学校での実習について
- 「教育実習指導(小学校)」「教育実習」の履修条件
- 小学校への教育実習を希望する学生は、以下の19科目のうち、原則として13科目以上を修得済みであること。
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対象科目 「教職入門」「教育原論」「教育心理学」「教育制度論」「教育課程論」「教科教育法(国語)」「教科教育法(社会)」「教科教育法(算数)」 「教科教育法(理科)」「教科教育法(生活)」「教科教育法(音楽)」「教科教育法(図画工作)」「教科教育法(家庭)」「教科教育法(体育)」「教科教育法(英語)※」「小中英語科指導法※」 「道徳教育の理論と方法」「特別活動論」「教育の方法及び技術(情報通信技術の活用含む)」「生徒・進路指導」 - ※の科目はどちらか1科目とする
2-2. 幼稚園での実習について
- 「教育実習指導(幼稚園)」「教育実習」の履修条件
- 幼稚園への教育実習を希望する学生は、以下の15科目のうち、原則として8科目以上を修得済みであること。
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対象科目 「教職入門」「教育原論」「教育心理学」「教育制度論」「保育内容演習(健康)Ⅰ」「保育内容演習(健康)Ⅱ」「保育内容演習(人間関係)Ⅰ」「保育内容演習(人間関係)Ⅱ」 「保育内容演習(環境)Ⅰ」「保育内容演習(環境)Ⅱ」「保育内容演習(表現)Ⅰ」「保育内容演習(表現)Ⅱ」「幼児体育指導法 Ⅰ」「幼児体育指導法 Ⅱ」「こども理解 Ⅰ(幼児)」